2023年4月から、公務員の定年が延長になります。
1985年、公務員に60歳定年制がはじめて導入され、その10年後の1994年、多くの民間企業が55歳定年から60歳定年に変わりました。
それから約30年経ったいま、定年が65歳になります。
時代の大きな転換点です。
今回はその歴史的な「定年延長」の内容と、「再雇用」「給料」「退職金」についてお話しします。
もうすぐ60歳の人も、まだまだ先の人も、セカンドライフについて考えるきっかけになると思います。
定年の段階的引き上げ
2023年4月(令和5年度)から、定年を段階的に引き上げる。
今回の定年延長では、下の図のとおり2年で1歳ずつ延長していきます。
最終的には、2031年4月(令和13年度)に65歳になります。
公務員の特例定年
現在、多くの公務員が60歳定年となっていますが、定年の年齢が違う職種もあります。(特例定年)
例えば、病院勤務の医師は65歳、守衛用務員等は63歳です。
また、自衛官は多くの人が55歳定年となっています。
定年前再任用短時間勤務制
60歳になったら退職し、定年までの残りの期間を「再任用短時間勤務職員」として勤務することができる。
定年延長に伴い新設される制度です。
具体的には、まず60歳になったら退職して退職金をもらいます。その後は現在の「再任用短時間勤務職員」と同様の形で勤務します。任期はその人の定年退職日までとなります。
定年は延長されても、60歳以後の働き方は自分で選べるようになるということですね。
定年までフルで働くこともできますし、早期退職して短時間勤務で働くことも選択できます。
暫定再任用制度
定年が引き上げられている期間中は、定年退職日以降65歳まで再任用として勤務ができる。
現在、60歳で定年退職後、65歳まで再任用で働けるようになっています。
定年引き上げ期間中は、現在と同じように、定年退職日以降65歳まで再任用として勤務ができます。これを「暫定再任用制度」といいます。
定年前再任用制度で定年前に再任用になっている場合でも、その後65歳まで暫定再任用として勤務することができます。
例えば、定年が63歳の人が60歳で退職した場合、63歳までは定年前再任用として勤務し、
その後はさらに65歳まで暫定再任用として勤務することができます。
定年が65歳になったら、この制度は廃止されます。
以上の「定年の段階的引き上げ」「定年前再任用制」「暫定再任用制度」が、今回の定年延長に関する基本的な変更点です。
早見表にまとめると、次のようになります。
・定年は2年に1歳ずつ延長される。
・本人の希望により定年前再任用、暫定再任用が選択できる。
現時点で、65歳以降の再任用制度はありませんが、2021年の法改正により、70歳までの雇用確保の努力義務が規定されました。
将来的には、70歳までの再任用制度が創設されるかもしれません。
役職定年
60歳の誕生日を迎えたら、次の4月1日までに原則として管理監督者以外の役職に異動する。
ここからは、給料面での変更点です。
まず、これまで公務員にはなかった「役職定年」が導入されます。
それまで部下だった人が上司になる、ということも今後もはありえるわけです。
60歳以降の給料の引き下げ
60歳になった次の4月1日以降は、給料が7割水準になる。
60歳になった次の年度からの給料は、「給料月額×70%」になります。
なお、役職定年で降格になった人は、役職定年前の給料月額の7割水準となります。
給料月額だけでなく、地域手当、期末勤勉手当、時間外勤務手当なども7割になります。
扶養手当、住居手当、通勤手当は減額されません。
退職手当の計算方法
当分の間、60歳以後定年前に退職した場合も、定年退職として扱い退職手当を支給する。
「定年延長で退職手当はどうなるのか」
「早期退職した場合の退職手当はどうなるのか」
定年延長にあたり、もっとも多い質問がこれです。
結論としては「60歳を過ぎたらいつ辞めても退職手当は変わらない」というケースが多いです。
現在の60歳定年の金額よりも不利になることはありませんし、逆に増える人も少ないです。
そして、60歳以降であれば、早期退職を選択しても定年退職と同じ扱いをするため、損をしないようになっています。
定年延長で退職手当が「増えるケース」と「変わらないケース」
退職手当は勤続年数により金額が変わります。当然、長いほど金額が増えます。
しかし、上限があるため、35年以上は金額が変わりません。
そのため、定年延長により退職手当が増えるケースは、「60歳前の勤続期間が34年以下の人」ということになります。
それ以外の人は、定年が伸びても金額は変わりません。
定年延長で公務員みんなの退職金が増えたら、財政的に大変なことになってしまうので、当然と言えば当然の措置ですね。
なお、退職手当は、
「勤続年数に応じた支給率×退職時の給料月額」
が基本額となります。(これに役職による調整額を加えて最終決定します。)
退職時の給料月額は、60歳までの期間はその人の最も高い給料月額を使用します。(ピーク時特例)
60歳以降の期間は、7割水準になった給料月額を使用します。
まとめ
✅定年延長で変わること
・2年ごとに1歳、定年を引き上げる
・60歳になったら再任用短時間を選択できる
・60歳になったら役職ではなくなる
・60歳になったら給料は7割になる
✅退職手当
・定年延長しても変わらないケースが多い
・60歳になったら早期退職しても損しないようになっている
突然、定年が延長になり、驚きもあればいろいろな感想があるかと思いますが、これをきっかけに人生後半のキャリアを考えてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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