未分類

今後変わるかも?退職金の税金『退職所得課税』

経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太の方針)において、退職所得課税制度を見直す方針が示されました。

具体的にどのような改正になるかは今後の議論によりますが、

勤続年数20年を超えると1年あたりの控除額が増加する仕組みが、働き方の多様化を想定していない

という点は以前から指摘されていたため、こうした点が改正される可能性があります。

これは公務員の皆さんにとっても無関係の話ではなく、ただでさえ減少傾向にある退職金が、さらに手取りまで下がる可能性があるということです。

また、iDeCoの受取時課税にも影響があるかもしれませんので、iDeCoに加入している人は気にしておいたほうがいいでしょう。

今回は、

  • 現在の退職所得課税制度について
  • iDeCoへの影響
  • 公務員の定年延長との関係

以上についてお伝えしていきます。

退職所得課税制度とはこんなもの

受け取った退職金のうち、課税対象となる金額は次の計算式で算出されます。

このように、勤続年数が長いほど非課税の金額が増える仕組みになっています。

さらに、課税されるのは控除後の金額の1/2のため、退職金にはあまり税金がかからないようになっています。

『役員等』には公務員も含まれる

図にもあるとおり、勤続5年以下の場合、『1/2』が適用にならない部分が発生します。役員等に支払われる退職金の場合、全額『1/2』の適用が無いため、通常より高い税金がかかりますが、この役員等には『国家公務員・地方公務員』も含まれます。そのため、公務員が勤続5年以下で退職する場合は、その役職にかかわらず『1/2』の適用はありません。これは、特別職などが4年の任期満了で退職金をもらうケースが多いためこのようになっていますが、通常の公務員の場合、勤続5年では退職金も少ないため、非課税枠で収まることが多いです。

なお、公務員ではあまりないケースだと思いますが、複数の退職金や退職金にあたる一時金(iDeCo以外※後述)を受け取る場合、前年以前4年以内に受け取ったもので勤続期間に重複がある場合は、一度使った控除枠は再度使えないように調整されます。

iDeCoは一時金で受け取ると「退職所得」になる

iDeCoを一時金で受け取った場合、『退職所得』扱いとなるため、退職所得控除を使うことができます。

iDeCoの場合の勤続年数=積立期間

仮に積立期間が40年だった場合、2200万円まで控除されるため、運用でかなり大きな収益を上げるような事がなければ、非課税で受け取れる可能性が高いです。しかし、税制が変わり、積立期間に応じた控除が受けられなくなった場合、課税されるようになるかもしれません。

iDeCoは一度始めると原則解約できないため、税制が変わり不利になったからといって辞めることもできません。このように状況変化に対応できない点が、解約できないリスクのひとつと言えます。

これまでは、iDeCo単体で見た場合、年金で受け取るより一時金で受け取ったほうが、この退職所得控除により非課税になる可能性が高く税金面で有利と考えられましたが、今後の改正によく注意して、一時金で受け取るか年金で受け取るかを選択しましょう。

iDeCoと他の退職所得の調整

iDeCoの積立期間と会社の勤続期間が重複している場合、重複期間の控除は退職金とiDeCo一時金のそれぞれでは使用できずに調整されます。

iDeCo以外の退職金は、前年以前4年以内に受け取ったものが調整の対象となりますが、iDeCoを一時金で受け取る時は、前年以前19年以内に受け取った退職金が調整の対象になります。

iDeCoは75歳まで受け取りを遅らせることができますが、60歳で会社から退職金をもらったあと、5年以上経過してからiDeCoを受け取ったとしても、重複期間は調整されます。

逆に、iDeCoを先に受け取る場合、5年以上間が空いて退職金を受け取れば調整はありません。

このように、一時金で受け取る場合、退職金とのタイミング次第で課税額が変わる場合があります。場合によっては、年金で受け取ったほうが有利なこともあります。

iDeCoの受け取り方法やタイミングは、よく考えて決めるようにしましょう。

公務員の定年延長と関係することは…

2023年から、公務員の定年は段階的に延長され、最終的に65歳定年になります。

退職金については、定年が延長しても、60歳定年時の退職金と変わらないケースが多く、単純に受け取る年齢が遅くなるだけの場合が多いです。

(定年延長と退職金についてはこちらの記事をご覧ください。)

公務員の定年延長と再雇用 退職金はどうなる?2023年4月から、公務員の定年が延長になります。 1985年、公務員に60歳定年制がはじめて導入され、その10年後の1994年、...

ただし、勤続年数が長くなる分、退職所得控除が増えるため、退職金の額は変わらなくても、手取り額が増えるという効果がありました。

定年延長すると…

〇退職金の金額は60歳定年のときと変わらないケースが多い

〇勤続年数は延長した分長くなる=退職所得控除が増えて税金が安くなる

➡定年延長すると退職金の手取りが増える

逆に言うと、退職金の額が同じでも税収としては減ってしまうため、今回、退職所得控除が見直される背景には、もしかすると定年延長があるのかもしれません。

もし勤続年数によらない計算方法に変わった場合、退職金は変わらずとも、手取り額が減る可能性があることは知っておきましょう。

まとめ

●退職金は勤続年数が長いほど非課税枠が多くなる

iDeCoを一時金で受け取ると退職所得になる

・積立期間を勤続年数として退職所得控除を計算する

・iDeCoは受け取るタイミングをよく考えたほうがいい

●退職所得控除の制度が変わると退職金の手取りに影響がある可能性がある

今後、新たな制度が明らかになったらまた解説したいと思います!

公務員ライフcafeでは、公務員同士で共通の悩みや解決方法を共有しています。

LINEや雑談会で情報交換しましょう!

LINEで質問する雑談会に申し込む

公務員ライフcafe

公務員で10年以上働いた経験から
幸せに絶対必要な5つの要素

「お金」
「仕事」
「健康」
「人間関係」
「趣味」

のために…

明日からすぐに
誰でも実践できることを
シェアします!