…とはいえ、自己研鑽に励むことはよいことです。
最近はリスキリングが話題になっていますし、公務員の皆さんも「なにか資格でも…」と思っている人も多いかと思います。
今回は公務員と資格について、休業制度、補助制度、資格試験の優遇をご紹介します。
リスキリングとは
リスキリングは、世界経済会議(ダボス会議)において2018年に導入された概念です。
「第4次産業革命により、数年で8000万件の仕事が消失する一方で9700万件の新たな仕事が生まれる」
ダボス会議においてのこの指摘により、リスキリングが注目されることになりました。
このようにリスキリングとは、単なる学び直しとは違い、「DXという社会背景の上で、新たなスキルを獲得する」ということになります。今の仕事とは全く違うスキルを身に付けるためのもので、スキルアップとも違うものになります。
また、自己啓発のような自発的なものとは別に、Amazonのように企業が主体となって提供するという側面があります。
実際に、お店でセルフレジが増えてきたり、chatGPTが話題になったりと、リスキリングが必要な社会になってきていることが皆さんも実感できるかと思います。
産休・育休中のリスキリング
岸田首相が国会で「育児休業中のリスキリングを後押しする」と発言し話題になりました。育児休業は、育児を理由とする休業制度です。休業目的が育児以外であると判断された場合は育児休業の承認が取り消されたり、後述する自己啓発休業に変更される場合もあります。自己啓発の範囲内であれば問題ないとは思いますが、学校へ通う等、大きな変化がある場合はあらかじめ任命権者に相談してください。
公務員が資格を取るメリットは?
※医療職など一部には資格に応じた手当があります。
そして、昇給、昇格に直接的に反映されるということもありません。
そのため、
という結論になってしまいます。
社会人の1日の平均勉強時間
メリットは特に無いわけですが、社会人の勉強(研修などを除いた自己啓発や学習)に関する以下のデータをご覧ください。
勉強をしている社会人は全体の5.7%
この5.7%の人たちの1日の平均勉強時間は123分
全く勉強していない約95%の人も含めると、社会人の1日の平均勉強時間は約7分
(令和3年度総務省社会生活基本調査)
要するに、毎日少しでも勉強すれば5%に入ることができ、1時間でも勉強しようものなら、日本の社会人の平均と比較して10倍近くも勉強していることになります。
これが毎日続けば、果たしてどれほど大きな差になることでしょうか。
そして、資格取得は、日々勉強するモチベーションを維持するのに最適な方法です。
興味のある分野があるなら、その分野の資格試験の勉強をしてみるのも良いでしょう。
公務員の「自己啓発休業」
自己啓発休業
以下の目的のために最大3年間、公務員の身分のまま休業できる。休業中は無給。
1 大学等における修学
2 国際貢献活動(主に海外ボランティアなど)
大学等に通うことが条件となるため、単なる資格取得では利用できませんが、本気でやろうと思えば、大学院に行くというような事も可能です。
国家公務員の自己啓発休業取得状況
1 大学等における修学 16人
2 国際貢献活動 0人
・平均休業期間 1年4月
(人事院 令和3年度自己啓発等休業実態調査)
東京都 自己啓発の費用補助
・宅建、簿記検定、建築士、技術士、社会福祉士、情報処理技術者など、職務に関連する国家資格等の取得支援
・パソコンスキル、ロジカルシンキング、プレゼンテーションスキルなど、職務に関連する知識・能力を習得できる通信教育講座の受講支援
・外国語を必要とする職務に従事する職員に対し、最大1年間、語学教育機関での語学能力向上学習支援
他にも、50人以上の事業場に1人選任しなければならない「衛生管理者」の資格取得費用を公費で支出しているといったケースもあります。
資格試験の優遇
難関といわれる資格にも次のような公務員の優遇があり、中には無試験で取得できるものもあります。
国家資格の公務員優遇の例
行政書士 | 国または地方公務員として17年(中卒は20年)行政事務経験があれば試験免除 |
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司法書士 | 裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官、検察事務官として10年以上経験があれば試験免除 |
税理士 | 国税業務に10年or15年以上経験があれば一部科目免除。23年or28年あれば全科目免除もあり得る |
弁理士 | 特許庁の審査官など7年以上経験があれば試験免除 |
社労士 | 国または地方公務員として労働社会保険法令施行業務の経験が10年以上あれば一部科目免除 |
中小企業診断士など過去には優遇があったが現在は行っていないものもある。
なお、士業の活動は資格取得後、登録をして初めて行うことができます。現役公務員中に取得しようとする場合は兼業のルールに注意が必要です。
事実上、現役中に取得したところで活用方法が無いため、取得しない人が多いと思われます。定年退職後に取得して活動するという方は、一定数存在すると思われます。
まとめ
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