介護のために仕事ができず「介護離職」をする人は年10万人いると言われています。
今回は、介護をする時に公務員が利用できる「介護休暇」などの制度をご紹介します。
令和3年度に介護休暇を利用した国家公務員は約220人で、前年に比べ約10%増加しました。最も多い要介護者は「父母」です。
そして、介護休暇を使い切った後も介護が必要な場合で、退職して引き続き介護をすることになった職員は約5%います。
他人事とは考えず、しっかり考えておきましょう!
介護休暇制度の概要
国家公務員の介護休暇制度には大きく分けて2つあります。地方公務員も多くの場合は国家公務員と同じ制度になっています。
なお、民間の介護休業制度(上限93日)と比較すると、取得できる日数が多くなっています。
1 介護休暇
2 介護時間
それぞれの制度を説明します。
介護休暇
要介護の対象者
同居不要:配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、孫、兄弟姉妹
同居必要:父母の配偶者、配偶者の父母の配偶者、子の配偶者、配偶者の子
要介護の状態とは
2週間以上負傷・疾病又は老齢により日常生活を営むのに支障がある
取得できる単位・期間
- 単位 1日または1時間単位
- 期間 通算6ヶ月間
- 3回までして取得することが可能
取得した日、時間は無給
介護休暇の取得方法
まず、通算6ヶ月の範囲内で、介護休暇を取得する期間を指定します。これを指定期間といいます。この指定期間の中で、1日または1時間単位で取得していきます。指定期間は3回まで指定することができます。
休暇を取得する都度請求することになりますので、指定期間中の必要なときに休暇を取得するというイメージです。
なお、初回請求時は2週間以上の予定を立てて、まとめて請求することになっています。
3回まで指定することができますので、とりあえず2カ月間指定して、様子を見ながらその後も指定する、といったような事が可能です。以前の制度では分割できませんでしたが、より取得しやすい形に制度改正されました。
なお、無給ですが、要件に当てはまれば共済組合の介護休業手当金が対象となります。
介護時間
要介護の対象者
介護休暇と同じ
取得できる単位・期間
- 単位 30分
- 期間 3年の期間内で1日2時間まで
取得した時間は無給
こちらは1日2時間の範囲内で取得できます。「育児部分休業」の介護版といったようなものです。「朝遅めに出勤したい」「早めに上がりたい」といった場合に利用しやすい制度です。
介護休暇制度の利用状況
国家公務員の介護休暇制度の利用状況は、人事院によると以下のとおりです。
介護休暇の取得者数
令和3年度 | 219人 |
令和2年度 | 202人 |
介護休暇の主な「要介護者」
1位 父母(約50%)
2位 子(約22%)
3位 配偶者(約21%)
介護時間の取得者数
令和3年度 | 64人 |
令和2年度 | 73人 |
介護時間の主な「要介護者」
1位 子(約50%)
2位 父母(約42%)
3位 配偶者(約6%)
なお、男性職員に限ると、介護休暇、介護時間どちらも「父母」が最も多くなっています。
介護休暇を使い切った後の状況
介護休暇を使用した後、どのような状況になっているかを調査した結果です。
介護が不要になった 約52%
引き続き介護が必要 約46%
(不明 2%)
介護が不要になった人の理由
- 要介護者が死亡(約20%)
- 要介護者が治癒(約14%)
- 家族などが介護(約8%)
引き続き介護が必要であった人の対応
- 短期介護休暇を利用(約13%)
- 年次休暇を利用(約11%)
- 介護時間を利用(約5%)
- 退職して介護(約5%)
使える休暇を使って対応している人が多い一方で、退職して介護を継続するケースもあるようです。
総務省の調査では、介護離職者数は毎年約10万人います。また、そのうちの約半数が、介護が始まってから1年以内に離職しているという調査結果もあります。
休暇制度で対応しきれない場合、働き続けるには、自分以外の家族等による介護や介護施設への入所などの対応が必要になります。
介護が必要になった場合どうするか、少しでも事前に想定しておくよいでしょう。
その他の制度
介護に関するその他の制度をご紹介します。
短期介護休暇
- 特別休暇で有給
- 1年につき5日まで(要介護者が2人以上の場合は10日まで)
- 対象者及び介護の要件は介護休暇と同じ
早出遅出勤務
- 午前5時~午後10時までの間で、勤務時間をずらすことができる。
深夜勤務・超過勤務の制限
請求することで深夜勤務・超過勤務が制限される。
所属所長は、この請求があった場合、介護を妨げるような超過勤務をさせることがないよう留意しなければいけない。
まとめ
介護については、前もって完璧に準備しておくことは難しいかもしれませんが、他人事とは考えずに、少しでも準備しておくとよいでしょう。
今回のような介護の話は、経験者のお話などを聞けるととても参考になると思います。
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